2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインネットワーク制御におけるNrf2の役割の解明
Project/Area Number |
22790304
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三村 純正 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60344884)
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Keywords | 分子病態学 / 酸化ストレス / 免疫応答 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
NGFは神経栄養因子であると同時に,炎症性サイトカインとしても働く.我々はグリオーマ細胞においてNGF遺伝子の発現に酸化ストレス応答性の転写因子であるNrf2が関わっていることを見出した.免疫応答時のNGF誘導における酸化ストレスあるいはNrf2の関わりを解明するために,23年度において以下の研究を行った. 1.免疫細胞におけるNGF遺伝子発現におけるNrf2の必要性の解析 NGF遺伝子の誘導をマクロファージ系の細胞であるRAW264.7細胞あるいは,THP1細胞において検討したところ,Nrf2の活性化剤であるカルノシン酸(CA)によるNGF誘導は見られなかった.そこで,グリオーマ細胞を各種サイトカインで刺激したところ,IL-1β,TNFαで強い誘導が見られ,カルノシン酸との協調作用も見られた.TNFαによる誘導においてはNrf2のknockdownにより低下が見られたことから,TNFαシグナルによるNGFの誘導にNrf2が関わっていることが明らかとなった.これらの成果は現在論文投稿中である. 2.マウス個体におけるNGF産生におけるNrf2の必要性の解析 マウスに対してCAを経口投与してみたが,脳における優位なNGF誘導は見られなかった.現在投与法も含めて再検討中である. 3.NGF遺伝子発現におけるNrf2の作用点の解析 NGF遺伝子発現におけるNrf2の作用点を探るために,ヒトNGF遺伝子プロモーターを用いたレポーター解析を行った.NGF遺伝子上流16kbまで解析を行ったが,CAあるいはNrf2依存的なレポーター活性の誘導は見られなかった.また,NGF遺伝子上のNrf2結合サイトを塩基配列から見出そうとしたが,種を超えて保存されているものはなかった.このことから,NGF遺伝子の誘導におけるNrf2の作用点は見出すことができなかった.
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