2010 Fiscal Year Annual Research Report
グリオブラストーマ幹細胞のstemness維持に関わるプロテインキナーゼの解析
Project/Area Number |
22790305
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
砂山 潤 山形大学, 医学部, 助教 (80466606)
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Keywords | glioblastoma / PI3 kinase / mTOR / stemness |
Research Abstract |
本研究ではまずグリオーマ幹細胞において幹細胞形質と同様、それに密接に関連すると考えられる造腫瘍能がPI3K,mTORの制御を受けているかについて検討を行った。グリオーマ幹細胞としては、グリオーマ培養細胞株から単離培養したもの、手術摘出したグリオブラストーマ組織から直接単離培養したものの両者を用いた。これまでの検討の結果、PI3K、mTORの阻害薬(LY294002,rapamycin)は単独でもある程度幹細胞形質に対する抑制効果、分化誘導効果を示すものの、両者の併用でより効果的にこれらの変化が生じることが確認されている。そこでPI3K、mTORの同時阻害がグリオーマ幹細胞の造腫瘍能に与える影響を調べた。PI3K阻害剤単独、mTOR阻害剤単独、および両者の組み合わせで処理したグリオーマ幹細胞をヌードマウスの皮下に移植して経過を観察したところ、両阻害剤で同時処理を行ったグリオーマ幹細胞は単独処理よりも有意に腫瘍形成能が減弱していることが明らかになった。さらにPI3K、mTORのdual inhibitorであるNVP-BEZ235を用いて検討したところ、NVP-BEZ235は予想通りグリオーマ幹細胞に分化を誘導したが、この分化細胞を薬剤のwash out後にヌードマウス皮下ないし頭蓋内に移植したところ、皮下では腫瘍増大の抑制が、頭蓋内では腫瘍増大の抑制ならびに生存期間の延長が観察された。これらの結果はPI3KとmTORの同時阻害によりグリオーマ幹細胞の幹細胞形質のみならず造腫瘍能が効果的に抑制できることを示しており、PI3K、mTORのdual inhibitorがグリオーマ幹細胞を標的とした治療戦略上有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)