2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリオブラストーマ幹細胞のstemness維持に関わるプロテインキナーゼの解析
Project/Area Number |
22790305
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
砂山 潤 山形大学, 医学部, 助教 (80466606)
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Keywords | glioblasotma / PI3 kinase / mTOR / stemness |
Research Abstract |
本研究ではまずグリオーマ幹細胞において幹細胞形質と同様、それに密接に関連すると考えられる造腫瘍能がPI3K,mTORの制御を受けているかについて検討を行った。これまでの検討の結果、PI3K、mTORの阻害薬は単独でもある程度効果を示すものの、両者の併用でより効果的にグリオーマ幹細胞を抑制することが確認されている。そこでPI3K、mTORの同時阻害がグリオーマ幹細胞の造腫瘍能に与える影響を調べた。PI3K阻害剤単独、mTOR阻害剤単独、および両者の組み合わせで処理したグリオーマ幹細胞をヌードマウスの皮下に移植して経過を観察したところ、両阻害剤で同時処理を行ったグリオーマ幹細胞は単独処理よりも有意に腫瘍形成能が減弱していることが明らかになった。さらにPI3K、mTORのdual inhibitor であるNVP-BEZ235を用いて検討したところ、NVP-BEZ235は予想通りグリオーマ幹細胞に分化を誘導したが、この分化細胞を薬剤のwash out後にヌードマウス頭蓋内に移植したところ、腫瘍増大の抑制ならびに生存期間の延長が観察されものの、その効果は限定的であった。そこでPI3K/mTOR経路以外のシグナル伝達経路の関与の可能性を調べたところ、プロテインキナーゼMAPKを介するシグナル伝達も同時にグリオーマ幹細胞制御に関わっていることが明らかとなった。重要なことに、これら両経路は転写因子FOXO3のリン酸化を介して、stemnessと分化を調節していることが判明した。これらの結果は、PI3K/mTOR経路、MAPK経路、転写因子FOXO3がグリオーマ幹細胞を標的とする治療のよい分子標的となりうる可能性を示唆するものと考えられる。
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