2010 Fiscal Year Annual Research Report
Y-family DNAポリメラーゼの制御機構と腫瘍病態における役割の解明
Project/Area Number |
22790306
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
関本 隆志 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (20436322)
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Keywords | 癌 / ゲノム不安定性 / 複製ストレス / 損傷乗り越えDNA合成 / 細胞老化 |
Research Abstract |
Y-family DNAポリメラーゼ(Y-Pol)は、損傷乗り越えDNA合成によって細胞のDNA損傷耐性を高めるばかりでなく、複製エラーを起こしやすいため変異の発生を促進する。これらの働きには、DNA損傷部位に生ずるユビキチン化PCNA(Ub-PCNA)への結合が重要である。しかし、Y-Polの制御機構や発がんにおける役割には未知の点が多い。そこで本研究では、発がん過程におけるY-Polの役割を解明するための解析対象として、前がん病変に着目した。 この目的に適した実験系の確立のために、ヒト培養細胞株に種々の発がん遺伝子を導入して解析し、Cyclin Eを高発現するヒト培養細胞株が良いin vitroモデル系となることを見出した。ヒト培養細胞株にCyclin Eを過剰発現させると老化マーカーの発現とともに細胞分裂は停止したが、H2AXのリン酸化などによって示される強いDNA損傷反応を伴いつつ複製が持続し、染色体の高倍数体(hyperploidy)が誘導された。本細胞系における損傷をともなうDNA合成にY-Polが関与する可能性を検討した結果、Cyclin Eの発現がUb-PCNA増加を引き起こし、導入したGFP-Pol-ηがDNA損傷部位に局在すること、RNAiによるPol-η発現の抑制が老化細胞の割合を減少させるという知見を得た。これらの結果は、本モデル系においてPol-ηをはじめとするY-Pol(REV1,Pol-τ,Pol-κ)による損傷乗り越えDNA合成が、細胞老化やゲノム不安定性に関与する可能性を示唆する。
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Research Products
(2 results)