2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いたCGH解析による、神経芽腫の発生・自然退縮制御遺伝子の同定
Project/Area Number |
22790311
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 聡 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (20402563)
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Keywords | 神経芽腫 / モデルマウス / CGHアレイ / Cited2 / がん幹細胞 |
Research Abstract |
1、末期腫瘍を用いたCGHアレイから同定した遺伝子Cited2の機能解析 昨年度、神経芽腫モデルであるMYCN Tgマウスの末期腫瘍12サンプル全てにおいて欠失変異を認めた遺伝子Cited2を同定し、神経芽腫におけるその機能解析を開始した。末期の神経芽腫腫瘍組織からがん細胞を培養し、Cited2のプロモーターに繋いだ蛍光タンパク質遺伝子(Venus)を導入して、Cited2の発現をモニターしたところ、神経芽腫細胞は、Cited2の発現量によって明確な二つの細胞集団に分かれることを見出した。興味深いことにCited2低発現細胞は、高発現細胞と比較して、野生型マウス皮下に移植した際の腫瘍形成能が顕著に高かった。また一方で、Cited2の発現がNeuroD1という転写因子との間に逆相関を示すことも明らかとなった。NeuroD1は当研究室から神経芽腫の発生への関与を報告した(Huanget al.C ancer Res.(2011)71, 2938-2948)遺伝子であり、Cited2がその上流で働いている可能性が考えられる。更に、Cited2低発現細胞と高発現細胞は、invitroで培養してもその形質は安定して変化しなかったが、野生型マウスの皮下に低発現細胞を移植した腫瘍からは高発現細胞が出現した一方で、高発現細胞を移植した腫瘍からは低発現細胞は現れなかった。つまりin vivoの条件において、低発現細胞からは高発現細胞が誘導されるが、その逆は起こらないというヒエラルキーの存在が示され、Cited2低発現細胞が神経芽腫幹細胞である可能性を強く想起させる。 2、初期腫瘍を用いたCGHアレイ解析について、3つのパラメータの計算によるランク付けまで行ったが、当面は上記のCited2の解析に集中するため、ここからの新たな候補遺伝子の探索は保留している。
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