2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨肉腫細胞においてRor2シグナルが制御するがん細胞浸潤の分子機構
Project/Area Number |
22790315
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山形 薫 神戸大学, 医学研究科, グローバルCOE研究員 (80533786)
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Keywords | Wnt5a / Ror2 / 骨肉腫 / MMP-13 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
【研究成果の内容】培養細胞において、Wnt5a/Ror2(Ror2:Wnt5a受容体)シグナルを介して、JNK/AP1経路が活性化される一方、細胞外マトリックス分解酵素をコードするMMP-13遺伝子の発現誘導が確認されている(Oishi I et al., Genes Cells 2003 : 8 ; 645-654 : Enomoto M et al., Oncogene 2009 : 28 ; 3197-3208)。また、軟骨組織におけるMMP-13の重要な役割が明らかにされている(Hou CH et al., Bone 2009 ; 44 : 233-242)。我々は、プロモーター解析および定量性RT-PCR法により、ヒト骨肉腫細胞SaOS-2においてWnt5a/Ror2シグナルは少なくともJNK/AP1を活性化し、MMP-13遺伝子発現を誘導することを見出した。また、免疫組織化学解析により、マウス軟骨組織においてRor2シグナルはMMP-13遺伝子発現に大きな役割を果たすことが示唆された。【意義】Wnt5aおよびRor2は骨肉腫疾患だけでなく前立腺がんや腎細胞がん等の悪性腫瘍疾患の細胞浸潤・転移を制御することも知られており(Yamamoto H et al., Oncogene 2010 : 29 : 2036-46 : Wright TM et al., Oncogene 2009 ; 28 ; 2513-2523)、骨肉腫細胞で得られる知見は関連研究分野にもたらす波及効果も高く、意義深い研究と考えられる。【重要性】骨肉腫は小児の罹患率が高く、細胞浸潤能が高い疾患である。本研究により骨肉腫培養細胞の浸潤を規定する分子制御機構の一端が解明された。in vitroで解明された遺伝子発現制御機構は骨肉腫の病態と密接に関連するとともに、本研究の成果は骨肉腫の診断および治療の標的として重要な知見をもたらすと考えられる。
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Research Products
(2 results)