2012 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム病における造血系細胞の脳内浸潤機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
22790318
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻 大輔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00423400)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | リソソーム病 / ガングリオシド / ケモカイン / 脳内浸潤 / 単球 / ミクログリア |
Research Abstract |
GM2ガングリオシドーシスはリソソーム酵素であるβ-ヘキソサミニダーゼ(Hex)の欠損に基づき、糖脂質であるGM2ガングリオシド(GM2)が過剰に蓄積して発症する常染色体劣性遺伝病であり、中枢神経症状を伴う代表的なリソソーム病である。 本研究では、神経変性に伴った脳内への造血系細胞の浸潤に、ケモカインリガンド・レセプターシステムが深く関与していると仮説を立て、モデルマウス脳内ミクログリア及び骨髄・末梢血中の血液細胞におけるそれらの発現をin vivo及びin vitroで正常との比較解析を行うことで、リソソーム病における神経炎症の理解を深め、細胞移植治療への応用を目指すことを目的としている。 平成24年度は、SDマウス由来骨髄を利用してケモカインであるMIP-1αの応答性に関与するシグナルを検討した。アクチン関連分子の発現及びリン酸化の程度を調べた結果、リン酸化CofilinのみがSDマウス由来単球系細胞で低下しており、その他のタンパクに関しては顕著に増加していた。これらの結果から、アクチンの重合及び脱重合がSDでは顕著に増大しており、種々のタンパク発現レベルが上昇することで、Cofilinのリン酸化・脱リン酸化が促進するという一種の代謝回転がMSDでは亢進していると考えられた。またPI3K InhibitorであるLY294002を処理したした後に浸潤アッセイを行った結果、MSDで顕著な浸潤の抑制がみられた。さらにPI3Kの活性を測定した結果、野生型と比較してSDマウス由来骨髄では5倍程度の上昇が観察された。 以上の結果から、SDマウス由来単球系細胞は、生体内基質の蓄積により、PI3Kが活性化され、アクチンの重合及び脱重合が盛んとなり、その結果として脳から分泌されるケモカインMIP-1αに誘因されて浸潤を起こすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(15 results)