2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規慢性炎症関連因子Angptl2の発現誘導機構の解明
Project/Area Number |
22790322
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
門松 毅 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90555757)
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Keywords | Angpt12 / 転写調節 / 概日リズム / 時計遺伝子 / 慢性炎症 |
Research Abstract |
我々は、Angpt12が慢性炎症を基盤病態とする疾患の発症や進展に関与する炎症関連因子であることを明らかにしている。Angpt12の発現誘導は、疾患の発症や進展の分子基盤となっているが、その発現誘導機構の詳細は不明であった。Angpt12発現には、24時間の概日リズムが存在することを既に見出していたことから、Angpt12発現と概日時計機構との関連性について検討を行った。骨肉腫細胞株であるU20S細胞を高濃度の血清で処理することで、Angpt12の発現に時計遺伝子であるPer2と同様の周期性が認められた。また、Angptl12レポーター活性は、Per2の発現を誘導することが知られている時計遺伝子BMALIとCLOCKの共発現により促進された。さらに、クロマチン免疫沈降法によりAngpt12プロモーター領域へのCLOCKの結合が確認された。マウスの各組織におけるAngpt12発現をリアルタイムPCRにて経時的に観察したところ、脂肪組織をはじめ様々な組織において24時間の周期性が確認された。また、概日時計機構に必須の時計遺伝子Cry欠損マウスでは、Angpt12の発現リズムの消失が認められた。以上の結果から、Angpt12の周期的発現は概日時計機構により制御されており、概日時計機構の破綻がAngpt12の発現リズムの消失につながることが示唆された。本研究により、新たなAngpt12の発現調節機構として概日時計機構の関与が明らかとなったことは、Angpt12発現誘導による病態の分子基盤の解明に繋がる重要な成果であると考える。
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