2010 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子シグナルクロストークによる上皮間葉転換の統合制御プログラムの解明
Project/Area Number |
22790323
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴木 堅太郎 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (20404345)
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Keywords | 上皮間葉転換 / 発生・分化 / 増殖因子 / 癌 |
Research Abstract |
Wnt/β-catenin-Bmpシグナルの破綻により引き起こされるEMT(上皮間葉転換)において、どのような遺伝子群が関与しているのか?遺伝子改変マウスの皮膚を用いて、マイクロアレーによりWnt/β-cateninシグナルが恒常的に活性化された時(K5-Cre Catnb^<(ex3)fl/+>、Wnt/β-cateninシグナルが恒常的に活性化されているのと同時にBmpシグナルも欠損させた時(K5-Cre Catnb^<(ex3)fl/+>BmprIA^<fl/fl>のマウス胎児皮膚における遺伝子の発現をそれぞれコントロールと比較、さらに、K5-Cre Catnb^<(ex3)fl/+>脈とK5-Cre Catnb^<(ex3)fl/+>BmprlA^<fl/fl>を比較して発現が変化した遺伝子を網羅的に解析した。 その結果、Snail遺伝子などEMTマーカーの発現が亢進している一方、Tgfβシグナルの活性化およびWnt/β-cateninのアンタゴニストの発現が亢進していることがわかった。TgfβシグナルはEMTに対し抑制的に働くことでも知られている。つまり胎児器官形成過程において、Wnt/β-cateninシグナルが活性化されるとそれを抑制しようとするシグナルが同時に誘導される(ネガティブフィードバック機構)可能性が示唆された。本研究の結果は、Wnt/β-cateninシグナルは、癌抑制因子としても機能しうる可能性を示唆していると思われる。
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