2011 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子シグナルクロストークによる上皮間葉転換の統合制御プログラムの解明
Project/Area Number |
22790323
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴木 堅太郎 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (20404345)
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Keywords | 上皮間葉転換 / 発生・分化 / 増殖因子 / 癌 / Wnt/β-catenin / Bmp / Dkk1 |
Research Abstract |
上皮間葉転換:Epithehal-Mesenchymal Trallsition (EMT)は胎児形態形成おいて重要な現象であるが、同様に癌細胞が転移する際にも不可欠である。本研究は、EMT促進因子として考えられているWnt/β-cateninシグナルに注目し、癌転移過程、発生過程の必須現象であるEMTの分子メカニズムを発生生物学的アプローチにより統合的に理解することが目的である。胎児皮膚発生過程においてWnt/β-cateninシグナルを表皮のみで特異的に活性化させたコンディショナル遺伝子改変マウス(K5-Cre Catnb^<(ex3)f1/+>)を作成し、解析した結果、EMT促進因子であるSnail遺伝子の発現亢進など遺伝子発現レベルではEMTが亢進している可能性が示唆されたが形態的変化は観られなかった。マイクロアレー解析によりEMT制御因子であるBmpおよびWnt/β-cateninのアンタゴニストの1つであるDkk1の発現がK5-Cre Catnb^<(ex3)f1/+>の皮膚において亢進していることがわかった。そこでWnt/β-cateninシグナル亢進時におけるこのBmpおよびDkk1の機能を調べるため、K5-CreCatnb^<(ex3)f1/+>にさらにBmpレセプターまたはDkk1のダブル遺伝子欠損マウス(DKO)を作成し、解析を行った。その結果、K5-CreCatnb^<(ex3)f1/+>Dkk1DKOでは、形態および遺伝子発現に大きな変化は観られなかったが、K5-CreCatnb^<(ex3)f/+>BmprIAf且では遺伝子発現レベルおよび組織学的解析によりEMTが亢進している可能性が示唆された。以上の結果は、BmpシグナルがEMT抑制因子として機能しうること、さらにWnt/β-cateninシグナルは、EMT促進因子としてだけではなく、抑制因子としても機能しうる可能性を示唆していると考える。
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