2011 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障関連染色体領域の遺伝子発現調節機構に対するSNPの影響の解析
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22790324
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中野 正和 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (70381944)
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Keywords | 分子病態学 / 遺伝子発現調節 / ゲノムワイド関連解析 / 緑内障 / SNP / 第2世代シーケンサー |
Research Abstract |
昨年度に我々以外のグループから緑内障の主病型である原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma,POAG)のゲノムワイド関連解析の結果が報告され始め、いずれの報告も我々とは異なる染色体領域を提示していたことから、本年度は統計学的検出力の高いゲノムワイド関連解析(疾患群833例・正常対照群686例)を新たに実施し、真の緑内障関連領域の同定を目指した。また、日本人POAG患者の90%以上が正常眼圧緑内障(normal pressure glaucoma,NPG)に分類されることから、日本人患者では緑内障のリスク因子の一つである高眼圧とは異なる要因が関与している可能性が高い。そこでPOAG群を高眼圧群(high pressure glaucoma,HPG;330例)と正常眼圧群(NPG;503例)の2群に分けた場合についての検討も加えた。 POAGのゲノムワイド関連解析の結果、新たにヒト染色体の9p21領域に存在するCDKN2B-AS1上にボンフェローニ補正を超える信頼性の高い有意なバリアントを5つ同定した。本領域は遺伝子砂漠であることから、今後緑内障の病態との関連性を追究していく必要がある。また、POAG群をHPG群とNPG群に分けて解析した結果、POAG群と完全に一致するCDKN2B-AS1上のバリアントがNPG群でのみ有意に検出された。CDKN2B-AS1上のバリアントはオーストラリア系の白人でもPOAGに関連することが報告されている(Burdonら,Nat.Genet.,2011)が、我々の検討ではこれらのバリアントは白人で罹患頻度の多いHPG患者では有意ではなく、NPG患者のみで有意であった。従って、CDKN2B-AS1上のバリアントは視神経乳頭の脆弱性など眼圧の高さによらない発症メカニズムに関与し得ることが示唆された。
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Research Products
(8 results)