2010 Fiscal Year Annual Research Report
接着喪失によるp21cip1転写活性化機構とがん転移抑制への応用
Project/Area Number |
22790327
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 助教 (60349040)
|
Keywords | 足場依存性 / p21cipl / Hic-5 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
1 脱接着応答領域の同定:様々な長さのp21ciplプロモーター領域を含むルシフェラーゼレポーターを構築し、p21ciplプロモーター上流2.okbp付近に存在する接着喪失応答配列を同定した。さらに、転写に必要な最小限度のプロモーターに当該配列を繋げたレポーターを構築したところ、接着喪失に伴う転写活性化はこの領域のみで十分であった。 2 脱接着応答領域に働きかける転写因子の同定:当該領域に働きかける因子の同定をデータベース検索およびRNAi法で行い、浮遊状態での転写活性化に働くKLF4、Hic-5、および接着状態で抑制的に働くRunx1、CRP2を見出した。なお、p53結合配列は含まれていなかった。現在、同定した因子の応答配列への結合とその接着依存性について、クロマチン免疫沈降法により解析中である。 3 Hic-5と脱接着応答性転写因子の関連性の解明:浮遊状態でのp21cipl転写活性化に関与するHic-5は浮遊状態で核、特に転写因子の足場となる核マトリックス核分に移行することを細胞分画法により見出した。さらに、Hic-5をkncokdownすると、KLF4の核局在が浮遊状態で減少したため、Hic-5は核マトリックスでKLF4や転写共役因子を呼び込み、転写因子複合体形成を介してp21cipl転写活性化に働く可能性が考えられた。 4 細胞内レドックスによる制御:接着喪失によるp21cipl遺伝子発現はNADPH oxidase阻害剤(アポサイニン)、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤(ロチン)、およびMnSOD発現系の導入により抑制され、ミトコンドリア、NADPH oxidaseに由来する活性酸素種により仲介されることが示唆された。Hic-5に存在する核外排出シグナル(NES)はレドックス感受性であることから、Hic-5のNES機能の修飾、核機能発現について、今後検討する予定である。
|