2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性ジストニアDYT3の原因遺伝子N-TAF1に関する神経細胞特異的機能の解明
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22790332
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
牧野 悟士 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 特任助教 (30423403)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 脳・神経 / 発現制御 |
Research Abstract |
申請者は、ヒトTAF1 (TATA box binding protein-associated factor 1)の神経細胞特異的なアイソフォーム(N-TAF1)を見出し、伴性劣性ジストニアパーキンソニズム(XDP/DYT3)の原因遺伝子であることを報告した。TAF1が基本転写因子TFIID複合体の最大のサブユニットであり、多くの組織で普遍的な発現様式および機能を持つと考えられていたことに対して、N-TAF1は組織特異的な調節を受け、神経細胞の生存に必須の機能を持つ可能性があることは興味深い。また、N-TAF1はマウスからヒトまで生物種を越えて保存されていること、マウスでは生後まもなくの期間においてN-TAF1発現量が急激に増加し、かつ老齢マウス個体においても発現量が維持される傾向が認められた。これらのことからN-TAF1は、神経細胞の発生・分化・維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、N-TAF1が直接発現を制御する遺伝子群を明らかにする目的でクロマチン免疫沈降法を実施するために、N-TAF1特異的な抗体を作製した。この抗体はN-TAF1もしくはTAF1タンパク質を強制発現させた培養細胞株を用いた免疫沈降により、N-TAF1特異的に反応することが確認された。さらに、N-TAF1が発現していないことが確認されている培養細胞株に、N-TAF1強制発現ベクターを導入してN-TAF1を過剰発現させている。この操作によって発現量が変化した遺伝子のリストアップを進めている。これらの結果から、N-TAF1がもつ神経細胞特異的な機能の解明を行う。
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