2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性ジストニアDYT3の原因遺伝子N-TAF1に関する神経細胞特異的機能の解明
Project/Area Number |
22790332
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
牧野 悟士 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 特任助教 (30423403)
|
Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 脳・神経 / 発現制御 |
Research Abstract |
申請者はゲノム解析によって遺伝性ジストニアDYT3の原因遺伝子探索を行い、TAF1のイントロンにおけるDYT3患者特異的なレトロトランスポゾン挿入を見出した。さらに、トランスポゾン周辺のゲノム領域が高度にメチル化されていること、新たに同定したヒトTAF1の神経細胞特異的なアイソフォームについて、DYT3患者脳の線条体尾状核における発現量が著しく減少していることを報告した。このTAF1遺伝子産物は基本転写因子TFIID複合体の最大のサブユニットとして知られており、幅広い生物種でその構造と機能が保存されていることがわかっていた。特に細胞周期や増殖にとって必須の転写因子のひとつであるとされ、哺乳類においても、培養細胞を用いた研究からTAF1が細胞周期に関連したいくつかの遺伝子の発現を制御していることが示されている。また、様々なヒストン修飾活性をもつことなど、TAF1が多様な発現制御を行う仕組みについても次第に明らかとなってきた。しかしながら、TAF1はあくまでも様々な組織で普遍的な発現様式と機能を持つと考えられており、申請者が見出したような組織特異的アイソフォームの存在や、TAF1が組織特異的な遺伝子発現制御に関与することはこれまでまったく知られていなかった。そこで、哺乳類培養細胞(神経芽細胞腫および肝癌由来細胞株)に対してTAF1を強制発現させ、細胞内での局在を比較するとともに、TAF1によって発現制御される可能性がある候補遺伝子5種について、TAF1の強制発現前後におけるその発現パターンを明らかにした。
|