2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝ステム細胞に関連した肝線維化進展機序の分子病理学的研究
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22790341
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
池田 博子 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10447675)
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Keywords | 肝線維化 / ステム細胞 / 病理 |
Research Abstract |
ラットやマウスを用いた検討では、Delta-like protehin(DLK)-1が肝プロジェニター/ステム細胞に発現していると報告されており、一方で、分子生物学的に肝線維化に関連することが知られている肝星細胞でのDLK-1発現が最近報告されている。ヒトでの肝プロジェニター/ステム細胞におけるDLK-1発現に関する報告はなく、ヒト肝組織でのプロジェニター/ステム細胞マーカーおよび線維化関連細胞とDLK-1発現について、分子病理学的解析を施行した。 昨年度までの検討で、肝細胞マーカーおよび胆管細胞マーカーを発現するステム細胞様細胞でのDLK-1発現および肝類洞に沿った星細胞と思われる紡錘形細胞でのDLK-1発現を確認していたが、使用していたDLK-1抗体とは異なるクローンでの検討を加えたところ、非腫瘍性ヒト肝組織ではDLK-1発現はまったく認められず、他クローンや文献的考察からもこれまで用いていたDLK-1抗体の認識が相違していた可能性が高いと思われた。しかし、DLK-1を認識していると思われる抗体を用いた検討では、ヒト肝芽細胞、肝細胞癌の一部、混合型肝癌でDLK-1発現が認められている。混合型肝癌の一部は肝ステム細胞由来と推察されつつあり、特にWHOでステム細胞型に分類される腫瘍群でDLK-1発現が有意に高く認められた。文献的に肝ステム細胞マーカーと報告されているNCAM/CD56,CD133,EpCAMなどの発現に相関する傾向を示しており、DLK-1は癌ステム細胞に関連した分子である可能性が示唆された。
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