Research Abstract |
研究課題全体では,ヒトM細胞のin vivoモデルであるCaco-2細胞/Raji細胞共培養系を用いて,Caco-2細胞をM細胞に分化させ,M細胞の最も重要な機能である細胞内粒子透過能もたらす遺伝子を発現クローニングによって単離同定することを目標としている.平成23年度も,平成22年度に引き続き,Caco-2細胞/Raji細胞共培養系によるM細胞への分化誘導の至適条件の検討を行ってきた.これまでに発表された論文(Gullberg et al.Biochem Biophys Res Commun 279 : 808-813, 2000ほか)に述べられている条件に加え,考え得るパラメータの至適条件の検討を行ってきたが,再現性のあるM細胞への分化誘導は実現できなかった.さらに,平成22年度に作製したcDNAライブラリーのCaco-2細胞への遺伝子導入実験を行うための予備実験として,GFP発現ベクターを通常のlipofection法で行ったところ,遺伝子導入効率は数%程度と極めて低く,この方法によって発現クローニングを行うことは極めて困難であると判断された.そこで,ウイルスベクターにサブクローニングされたcDNAライブラリーを作製することにより,高い遺伝子導入効率が期待できるウイルス感染による遺伝子導入を行う方向で準備を進めてきた.しかしながら,前述の通り,再現性のある,安定したM細胞への分化誘導の至適条件が得られていないことから,現在のところスクリーニングを行うことが困難である.
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