2010 Fiscal Year Annual Research Report
若年者胃癌発癌とH.ピロリ菌感染による細胞内酸化ストレスに関する研究
Project/Area Number |
22790345
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平橋 美奈子 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (90529877)
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Keywords | 胃癌発癌 / H.ピロリ菌 / 慢性炎症 / 活性酸素 / 病理学 / 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(80HdG) / peroxiredoxin(PRDX) |
Research Abstract |
【目的・方法】Helicobacter pylori(H.pylori)感染による慢性胃炎は、粘膜内の持続する炎症状態から胃上皮細胞内に活性酸素(ROS)が蓄積しやすい状態を誘発し、発癌に関与すると言われているが、ROSの蓄積がどのように起こっているのかはまだ解明されていない。本研究の目的は、H.pylori感染が高率に合併する30歳以下の若年者胃癌単発例84例と41歳以上の非若年者胃癌単発例115例を用いてROS産生系物質(80HdG,iNOS,COX2)とROS消去・分解系物質(peroxiredoxin;PRDX)の蛋白発現を免疫組織化学的に検討しその発現の程度を若年群、非若年群で比較した。 【結果】1)80HdG核内蓄積は、非癌部に比べ癌部に有意に蓄積し(p<0.01)、両群に差はなかった。2)iNosは、非若年群の癌部で有意に発現率が高かった(p<0.001)。3)COX2の発現は両群ともに癌部・非癌部の発現率は低かった。4)PRDX2は若年群で癌部の発現率が低く(p<0.05)、PRDX3は両群で癌部の発現率に差はなかったが、若年群の腺頸部で発現率が有意に低かった(p<0.05)。 【結論】 年齢に関係なく、胃癌の発癌には80HdG核内蓄積に象徴されるROS蓄積が関与しており、非若年者ではROS産生系物質の過剰発現が、30歳以下の若年者ではROS消去系物質の減少がROS細胞内蓄積に関与することが示唆された。(現在この内容を論文執筆中であり、4月20日開催の第9回国際胃癌学会(ソウル)にて発表予定である。)
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