2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAを用いた胃腸管間質腫瘍の発育・進展に関する研究
Project/Area Number |
22790346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山元 英崇 九州大学, 大学病院, 助教 (30404073)
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Keywords | 胃腸管間質腫瘍 / GIST / マイクロRNA / KIT / miR-133b / fascin |
Research Abstract |
胃腸管間質腫瘍(GIST)に関し、より詳細に腫瘍発生・進展の分子メカニズムを解明するために、マイクロRNA(miRNA)の発現を検討した。前年度前に得られたmiRNA arrayのデータに対して、supervised analysis(既知の臨床病理学的因子等により分類された2群の間で、有意に発現量に差がある遺伝子(miRNA)を抽出する方法)を行い、GISTの組織学的グレードによって発現量に差があるmiRNAをリストアップした。低悪性度GISTに比べ、高悪性度GISTにおいて発現が低下または上昇しているmiRNAはそれぞれ数十個リストアップされた。その中でも、高悪性度GISTにおいて発現が低下しているmiR-133bに注目して解析を追加した。定量的real-time PCRにおいても、mfR-133b発現量は高悪性度GISTにおいて低かった。また、miR-133bの標的遺伝子であるfascin-1mRNAは高悪性度GISTにおいて有意に発現が亢進し、miR-133bとfascin-1発現量は逆相関していた。さらに多数例の臨床サンプルに対象を広げ、fascin-1蛋白発現を免疫染色にて検索したところ、fascin-1高発現例は、静脈浸潤、粘膜潰瘍形成と相関し、予後不良であった。fascin-1は細胞の運動能を亢進させる分子であり、癌腫の浸潤や転移に関与することが知られているが、本研究において、fascin-1はGISTの浸潤、転移に重要な役割している可能性が示唆された。近年、fascin-1に対する阻害薬が実験的に癌細胞の転移を抑制したという報告があり、今後、GISTを含めた悪性腫瘍にて臨床応用が期待される。
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Research Products
(5 results)