2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性骨髄性白血病におけるMLL遺伝子縦列部分重複の機能解析と分子標的治療
Project/Area Number |
22790355
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 睦 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (60327575)
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Keywords | 病理学 / 癌 / 遺伝子 / 白血病 |
Research Abstract |
【本年度の研究結果】 1.定量的PCRプライマーの設計 MLL-PTD遺伝子の接合部を挟んだ領域から適切な領域を抽出し定量的PCRプライマーを設計・合成した。同様に、総MLL遺伝子プライマーを台成した。プライマーの感度と特異性を、MLL-PTDを有する小児白血病細胞株KOPM-88およびMLL遺伝子再構成を伴わない細胞株を用いて確認した。 2.siRNA配列の設計及び合成 MLL-PTD遺伝子特異的siRNAはPTD接合部の配列を含む19塩基対を抽出、siRMAの条件を満たし、既知の他の遺伝子配列との相同性が低いものを選択して4種類の配列を決定し合成した。同様に総MLL遺伝子に対するsiRNAを2種類設計した。 3.上記siRNAによるMLL遺伝子発現抑制系の確立 導入試薬INTERFERINを用いてKOPM-88細胞株に上記siRNAを導入した。定量的PCR法による確認で50%-80%の発現低下が得られた。 4.siRNAによるMLL-PTD遺伝子発現抑制によるKOPM-88細胞増殖抑制効果 siRNAによるMLL遺伝子発現抑制の細胞増殖抑制効果をWST-1アッセイ法により解析した。細胞増殖抑制効果は約20%程度であった。 5.抗CD26ヒト化モノクローナル抗体の造血器悪性腫瘍に対する増殖抑制効果の検討 抗CD26ヒト化モノクローナル抗体YSHOは、CD26陽性リンパ腫細胞株Karpas299の増殖を約60%に抑制した。 【研究結果の意義】 現時点で報告例のない、MLL-PTDの遺伝子抑制系を確立した。MLL-PTDが白血病細胞の維持・増殖に関与する分子機構を解明する手段となると考えられる。また、抗CD26ヒト化モノクローナル抗体の造血器悪性腫瘍に対する増殖抑制効果が確認され、今後MLL-PTD遺伝子産物およびその下流分子を含めた、分子標的治療の開発に有用であると考えられる。
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