2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790360
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 助教 (90392331)
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Keywords | 消化器がん / リンパ節転移 |
Research Abstract |
ヒト早期大腸がん(sm浸潤がん)症例の中から、連続切片作成可能な検体を選び出し、年齢、性別などにおいて統計学的に有意差のないリンパ節転移陽性症例36例、リンパ節転移陰性症例75例を選出した。Sm浸潤がんにおける形態学的な特徴を検討するため、発育形式、浸潤部の粘膜筋板の性状、主となる組織型、浸潤先進部の組織型、Tumor budding、腫瘍胞巣内好中球浸潤などの腫瘍自身の形態に関係する因子について観察し検討した。さらに、既存の文献から、がん間質の形態学的分類として、がん間質の特に線維化における形態学的分類としては未熟型、中間型、成熟型の3種に分類、リンパ球浸潤の程度に関しては腫瘍周囲のリンパ球浸潤程度(PLI)やクローン病類似リンパ球反応(CLR)について分類、また腫瘍周囲間質の好中球浸潤については微小膿瘍形成(MAF)の有無について検討した。また腫瘍の脈管侵襲については、形態のみでは脈管侵襲の断定が困難であることから、弾性線維染色(ビクトリア青染色)、血管内皮細胞のマーカーであるvon Willebrand factor抗体、リンパ管内皮細胞のマーカーであるLYVE-1抗体を用いた免疫組織化学染色を全例で施行し、静脈侵襲およびリンパ管侵襲の有無を客観的に評価した。カイ二乗検定、Mann-Whitney U検定、Student t検定などを行い、統計学的に解析した結果、発育様式、浸潤部の粘膜筋板の性状、浸潤距離、主となる組織型、浸潤先進部の組織型、Tumor buddingの有無、腫瘍胞巣内好中球浸潤の有無、がん間質の線維化における形態学的分類、CLR、MAF、リンパ管侵襲が、リンパ節転移の有無に関与する有意な差のある因子であることがわかった。
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