2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22790360
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 助教 (90392331)
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Keywords | 病理学 / 消化器がん / リンパ節転移 |
Research Abstract |
昨年度選出したヒト早期大腸がん(sm浸潤がん)症例である、リンパ節転移陽性症例36例、リンパ節転移陰性症例75例を用いて免疫組織化学染色を施行した。MT1-MMP1、MMP1、MMP2、MMP7、CXCR7、CXCL12、CCR7、ANGPTL4など、文献的に消化器がんにおいてリンパ節転移に関わると報告される抗体で、入手可能な抗体を多数選出した。MT-MMP1、MMP1、MMP2は腫瘍の一部に染色されたが、リンパ節転移との関連は認めなかった。CXCR7、CCR7においては、免疫組織化学染色において点評価可能な陽性像を確認することはできなかった。MMP7は、腫瘍細胞の、特に浸潤先進部のtumor buddingの部分にほぼ一致して強い陽性像が確認された。CXCL12は、腫瘍細胞に様々な割合で陽性像を認め、MMP7ほどではないが、同様に浸潤先進部のtumor buddingの部分に強い陽性像を認めた。ANGPTL4はCXCL12と類似する分布であるが、CXCL12よりは発現する腫瘍細胞が少なかった。MMP7、CXCL12、ANGPTL4共に、統計学的にリンパ節転移との有意な相関を認めた。 前年度統計学的に解析し、リンパ節転移との相関を認めた発育様式、浸潤部の粘膜筋板の性状、浸潤距離、主となる組織型、浸潤先進部の組織型、Tumor buddingの有無、腫瘍胞巣内好中球浸潤の有無、がん間質の線維化における形態学的分類、CLR、MAF、リンパ管侵襲と共に、上記のMMP7、CXCL12、ANGPTL4の腫瘍における発現を加え、計13項目を用いて多変量解析を施行した。その結果、腫瘍胞巣内好中球浸潤の有無、リンパ管侵襲、MMP7の発現程度の3項目が、早期大腸がんにおけるリンパ節転移の有無に関して独立した因子であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要十分な症例の収集に成功し、形態学的観察が可能であった。また免疫組織化学染色を施行し、多種の抗体において、評価可能となる程度の発現を認めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの結果をふまえ、それらの結果を関連付けるため、関連タンパクの分布の確認および多重染色などを試みる。早期胃がん症例に関しては、症例数が少なくなっている場合は、より古い症例群より症例を探しだす。
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