2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経内分泌悪性腫瘍における特異的転写因子を介した細胞接着因子発現制御機構の解明
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22790361
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 華子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60438132)
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Keywords | 神経内分泌 / 悪性腫瘍 / 転写因子 / 細胞接着因子 |
Research Abstract |
肺小細胞癌に代表される神経内分泌癌は、極めて早期から浸潤・転移することが特徴であり、それが極めて不良な予後の一因と考えられている。研究者は先行研究において、神経内分泌癌において特異的に発現しているbasic helix-loop-helix(bHLH)型転写因子であるNeuroDがlnsulin-like growth factor binding protein-2(IGFBP-2)を誘導することを明らかにしてきた。近年の研究によりIGFBP-2自体も細胞接着因子としての機能を持ちうることが報告されているが、研究者はIGFBP-2と同様の発現誘導メカニズムで神経内分泌癌に特異的に発現誘導される細胞接着因子の有無およびその発現機序について検討を進めている。その結果、神経内分泌系細胞への分化と連動して発現しているNeural cell adhesion molecule-1(NCAM-1)もそのプロモーター内に存在するE-boxにNeuroDが結合することにより発現誘導されること、神経内分泌細胞特異的bHLH転写因子ASCL-1はNCAM-1の発現に関与しないことが分子病理学的検索により明らかになった。また、現在IGFBP-2およびNCAM-1強制発現癌細胞を作成し、その生物学的解析を進めている。現在までのところ、IGFBP-2強制発現株、NCAM-1強制発現株いずれにおいても、その細胞増殖速度は遅延することが明らかになっている。
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