2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経内分泌悪性腫瘍における特異的転写因子を介した細胞接着因子発現制御機構の解明
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22790361
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 華子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60438132)
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Keywords | 神経内分泌 / 悪性腫瘍 / 転写因子 / 細胞接着因子 |
Research Abstract |
前年度までの研究により神経内分泌細胞特異的bHLH型転写因子NeuroDによりNeural cell adhesion molecule 1(NCAM-1)およびlnsulin-like growth factor binding protein-2(IGFBP-2)発現誘導されることが判明した。そこで本年度はNCAM-1およびIGFBP-2が細胞増殖および宿主に及ぼす影響を検討するととした。 ドキシサイクリンにより発現のON-OFFが可能なレトロウィルスベクター系を用い、ヒトNCAM-1およびヒトIGFBP-2発現ベクターを作成した。これを肺癌細胞株に導入することにより、NCAM-1およびIGFBP-2が細胞増殖に及ぼす影響、形態変化に及ぼす影響について、病理細胞学的に解析した。その結果、NCAM1発現およびIGFBP-2発現の誘導により肺癌細胞の増殖は約10%-20%抑制された。 また、ドキシサイクリンにより発現のON-OFFが可能なレトロウィルスベクター系を用い、マウスNCAM-1およびマウスIGFBP-2発現ベクターを作成し、これをマウス肺癌細胞株に導入することにより、安定発現株を作成した。これをヌードマウスに接種し、癌細胞に発現するNCAM-1およびIGFBP-2が担癌宿主に及ぼす影響(浸潤性、転移性の変化)、形態変化に及ぼす影響を、病理組織学的に解析することとした。具体的には、上記遺伝子導入マウス肺癌細胞を経尾静脈的に5x10^6個/マウスで移植し、4週後に肺に形成された腫瘍について、病理組織学的に解析した。その結果、形成された腫瘍数はNCAM-1導入株>>IGFBP-2導入株,空ベクター導入株であり、NCAM-1の発現により腫瘍形成能が亢進した。また各遺伝子導入株間に有意な形態学的差異は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトおよびマウスNCAM-1発現ウィルスベクターの作成、およびそれらがドキシサイクリン下に安定発現誘導されるヒト肺癌細胞およびマウス肺癌細胞の作成に成功し、それらを用いた動物実験を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に作成できた動物モデルを用い、接種する癌細胞数を変化させる、また経過観察する期間を変化させることにより、導入遺伝子が浸潤性や転移性に与える影響について、更に詳細に検討していきたい。
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Research Products
(3 results)