2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫の悪性度および発育進展に関与する細胞接着分子の解析
Project/Area Number |
22790362
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20419823)
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Keywords | 悪性中皮腫 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫は、極めて予後不良な悪性腫瘍であり、20世紀後半の大量のアスベスト消費を原因として急増している。これまで、悪性胸膜中皮腫はアスベストを扱う職域に発生する職業性疾患と捉えられてきたが、一般環境の低濃度曝露によっても発生することが明らかとなり、悪性胸膜中皮腫の早期診断法の確立と有効な治療法の開発が急務となっている。悪性胸膜中皮腫は胸水貯留で発症することが多く、胸水細胞診により中皮腫診断への道筋をつけることが重要であるが、細胞形態学的に中皮腫と反応性中皮とを鑑別することは難しい。中皮腫の胸水細胞診で認められる、球状集塊、乳頭状集塊、細胞相互封入像などの特徴は、中皮腫細胞に発現する細胞接着分子の機能が、その発生と病態に関与することを示唆しているが、これまでに診断や治療に結びつく有力な細胞接着分子は同定されていない。このような背景から、本研究においては、悪性黒色腫などの悪性腫瘍において、発現の強度と腫瘍の悪性度に相関性が報告されている細胞接着分子CD146に着目し、悪性胸膜中皮腫と反応性中皮におけるCD146の発現を調べた。悪性胸膜中皮腫23例と反応性中皮28例の胸水細胞診標本に対してCD146抗体(2種類のクローン)を用いて免疫染色を行ったところ、中皮腫では全ての症例がいずれかのクローンに対して陽性であったのに対して、反応性中皮は全症例が陰性であった。悪性胸膜中皮腫に対する感度は90%以上、特異度は100%であったことから、胸水細胞診における細胞接着分子CD146の免疫染色が、悪性胸膜中皮腫と反応性中皮との鑑別に極めて有用であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)