2011 Fiscal Year Annual Research Report
Ewing肉腫におけるDickkopf分子の機能解析とそれを応用した治療法開発
Project/Area Number |
22790366
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
大喜多 肇 独立行政法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部・分子病理研究室, 室長 (50317260)
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Keywords | 肉腫 / WNT / 小児 |
Research Abstract |
Ewing肉腫にはEWSとETSファミリーの転写因子との融合遺伝子が存在し、その産物が異常な転写因子として機能することにより腫瘍発生にかかわっていると考えられている。分泌性のWntシグナル制御因子であるDickkopf familyに属するDKK1は融合遺伝子発現によって発現低下し、DKK2は発現上昇する標的遺伝子である。本研究は、DKK1、DKK2の腫瘍発生における機能を明らかにするとともに、DKK1やその下流因子が治療標的となりうるかどうかを検討することを目的とした。 DKK1はWNTシグナルの古典的経路を抑制したが、DKK1によるWNTシグナルのJNK-平面内細胞極性経路への影響は同定できなかった。さらに本腫瘍におけるDKK1/DKK2の作用を解析するためにDKK1あるいはDKK2を発現させたEwing肉腫細胞の発現解析を行ったところ、WNTシグナル関連分子の発現が上昇・あるいは低下するとともに、腫瘍抑制性に機能するRHOファミリーの一分子がDKK2によって発現低下しており、DKK2発現による腫瘍化に関与している可能性が示唆された。前年度までの研究もあわせ、外部より添加されたDKK1は必ずしもEwing肉腫の腫瘍形成に抑制性に作用せず、DKK1によるEwing肉腫に対する顕著な腫瘍抑制効果はDKK1発現Ewing肉腫細胞の異種移植系のみであり、本分子が直接腫瘍形成を抑制するというよりも血管新生抑制等の可能性も考慮すべきと考えられた。
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[Journal Article] Ewing肉腫2011
Author(s)
陳基明,牧本敦,横山良平,角美奈子,尾崎敏文,石井猛,川井章,山田健志,田地野崇宏,石田剛,大喜多肇,川本博,浅見恵子,麦島秀雄
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Journal Title
小児外科
Volume: 43(11)
Pages: 1229-1233
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