2010 Fiscal Year Annual Research Report
節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型の分子病態の解明および新規薬剤の探索
Project/Area Number |
22790368
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
加留部 謙之輔 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (20508577)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / NK細胞リンパ腫 / 発現解析 / ゲノム解析 / FOXO3 / PRDM1 |
Research Abstract |
分子生物学的発がん機序において不明な点が多い節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(以下ENKTL)について、網羅的な発現解析およびゲノム異常解析をもとに分子病態の解明を試みた。ゲノム異常解析(アレイCGH)の結果、1q23.1-24.2のgain、6q, 11q22.3-q23.3のlossを始め多彩なゲノム異常が認められた。特に6q21-23において、30%以上の症例で欠失が認められ、この異常が最も頻度の高いものであった。この領域に存在する遺伝子のうち、発現解析においても、腫瘍サンプルで発現が低下しているものを抽出すると、ATG5、FOXO3、HACE1、PREP、PRDM1、LACE1、TNFAIP3(A20)の7遺伝子に絞られた。これらの遺伝子は、がん抑制遺伝子としてENKTLのがん化に関わっている可能性が高いと考えられた。以上の解析で絞り込まれた7候補遺伝子について、Tet-OFFシステムを用いた遺伝子発現誘導細胞株を用いて機能実験を行った。細胞株としては、6q欠失のあるNKLおよびSNK10を用いた。その結果、7候補遺伝子のうち、遺伝子発現誘導によって細胞株の増殖が抑制されるのはPRDM1およびFOXO3のみであった。PRDM1およびFOXO3はもっとも重要ながん抑制遺伝子であると考え、遺伝子の状態をより詳細に検討するために、両遺伝子の蛋白コード領域のゲノムシークエンスを行った。その結果、40例中2例においてPRDM1のナンセンス変異を、3例においてFOXO3のミスセンス変異を検出した。以上の結果から、PRDM1およびFOXO3は6q欠失の有力な責任遺伝子であると考えられた。 この結果は第69回日本癌学会学術総会において発表した。
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Research Products
(1 results)