2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクアポリン蛋白能動免疫による視神経脊髄炎モデルの開発
Project/Area Number |
22790375
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鵜沢 顕之 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (10533317)
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Keywords | 視神経脊髄炎 / モデルマウス / 血液脳関門 / アクアポリン4 / インターロイキン6 / 接着因子 |
Research Abstract |
本研究は視神経脊髄炎(NMO)の病態解明のため、NMOのモデルマウスを作成することを目的としている。マウスにアクアポリン4(AQP4)蛋白を投与すると、血中AQP4抗体価の上昇を認めたが、神経症状は出現せず、血液脳関門(BBB)の存在のため、抗体が中枢神経内に到達しないためと考えられた。そこで、BBB脆弱化モデルマウスの作成が必要と考え、次の実験を行った。マウスに高浸透圧薬(25%マンニトール)を心注し、その後染色液(2%Evans blue)を心注投与した。しかし脳への染色液の漏出はごく軽度で、BBBの破綻は軽度と考えられた。次に仔マウスに染色液の投与を行ったところ、脳全体が染色され、BBBが脆弱であることが確認された。そこで、仔マウスにAQP4蛋白の投与を施行したが、抗AQP4抗体の上昇は認めず、抗AQP4抗体を直接投与しても、血中の抗体価の上昇のみで中枢神経系に病変は生じず、仔マウスでは免疫機構が十分に発達していないためと考えられた。CFA (Complete Freund's adjuvant)を投与すると、BBBが脆弱になることが知られており、現在、この方法を用いてモデルマウスの作成をすべく実験を行っている。我々はNMO患者においてIL-6がNMOの病態や予後に関連していることや、BBBの破綻を反映して髄液中の可溶性の接着因子(sICAM-1、sVCAM-1)が著明に上昇していることを報告しており、今後、マウスへのIL-6の投与やBBBの破綻の評価として可溶性の接着因子を測定することも併せて検討している。NMOモデルマウスを確立し、NMOの病態解明および新規治療法開発の基盤とすることを目的とし、研究を継続している。
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