2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 耕史 京都大学, 医学研究科, 助教 (40402862)
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Keywords | CDX2 / 細胞増殖 / 大腸癌 / 癌抑制遺伝子 / 転写 |
Research Abstract |
本研究課題では、大腸がん抑制遺伝子CDX2による大腸がん細胞の増殖や生存の抑制機序の解明を目的とした。こまでの解析から、CDX2が転写因子である一方、転写活性とは別の機能(非転写活性)を有することが分かった。さらに、その非転写活性を介して大腸がん細胞の増殖と生存を負に制御することが分かった(Aoki K.,et aL., Cancer Research, VoL.71(2),593-602,2011)。上記の論文では、CDX2が転写活性に依存せずに大腸癌細胞の増殖を抑制すること、その機序の一つとして細胞周期抑制因子p27の発現を上昇することを報告した。さらにヒト大腸癌組織でもCDX2とp27蛋白質の発現に正の相関性があることも分かった。 また、CDX2の結合分子として、ATG7を発見した。ATG7はオートファジーに必須のユビキチンE1様酵素である。オートファジーは細胞内の小器官、タンパク質、脂質などを分解する重要な装置として働き、近年、様々な生理的機能に重要な役割を果たすことが注目されている。さらに、CDX2を発現するとオートファジーのマーカーであるLC3Bの二型が増加すること、オートファジーの特異的基質であるp62の量が減少することが分かった。さらにATG7の発現をshRMを用いて抑制すると、CDX2によるオートファジーの活性化が抑制されることが分かった。これらの結果から、CDX2がATG7に結合することでオートファジーを活性していることが分かった。さらに、CDX2によるある種の細胞死がオートファジーの抑制剤である3-methyladenineにより抑制されることが分かった。この結果は、CDX2がオートファジーの活性化を介して細胞の生存を抑制していることを示唆している。そこで、CDX2によるATG7の活性化制御機序の解析を進めている。また、CDX2がオートファジーの活性化を介して制御している細胞内機能の探索を行っている。
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