2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化巣形成における造血幹細胞とトロンビン切断型オステオポンチンの役割
Project/Area Number |
22790382
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
倉田 美恵 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80423440)
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Keywords | 動脈硬化 / 慢性炎症 / 血管新生 / 幹細胞 / オステオポンチン / トロンビン切断型オステオポンチン |
Research Abstract |
急性心筋梗塞や脳梗塞の病態は粥状硬化、特に不安定な粥腫の破綻と深く関与しており、その組織像として血管新生と炎症細胞の集簇が挙げられる。新生血管は造血幹細胞の動員により形成されるとされているが、何がこれらの細胞を動員するかは不明である。炎症性サイトカインの1つであるオステオポンチン(OPN)はトロンビンで切断され新たな活性部位を持つtrQPNとなる。近年、trOPNが造血幹細胞の遊走と分化、niche形成に必要不可欠であることが報告されたが、粥腫におけるtrOPNの作用は不明であり、粥状動脈硬化巣における造血幹細胞の動員、血管新生、粥腫の静聴に対する関与を明らかにするため本研究を立案した。 平成23年度において私は、以下のことを行った。 1)fOPN,trOPNの機能の差異を検討した。 C57/BL6から採取した腹腔常在マクロファージにコムギ胚芽無細胞蛋白合成系で作成したfOPN,trOPNを負荷し、その反応の差異を検討した。CCL12,CxCL14などのケモカインやIL13受容体遺伝子の発現が濃度依存性に上昇し、その程度はfOPNよりもtrOPNが強かった。このことは、trOPNはfOPNとは異なる機序で炎症を惹起していることが示唆された(The 79th European Atherosclerosis Society Congress, The 23rds Scientific Meeting of the International Society of Hypertensionにて報告) 2)ApoE^<-/->OPN^<-/->マウスを用いたin vivoにおけ動脈硬化巣形成修飾の解析を行った。 動脈硬化モデルマウスであるC57BL/6-ApoE^<-/->マウスにC57BL/6-OPN^<-/->マウスをかけあわせ、ApoE^<-/->OPN^<-/->マウスを作成し、高脂肪食にて飼育した後に動脈硬化巣のサイズ、新生血管密度の差異について病理組織学的に検討した。両系統とも週令を経るに伴い動脈硬化巣のサイズは増大し、系統間に優位な差はなかった。更に、組織学的に新生血管密度を評価したものの、その数は両群共に少なく、有意差はなかった。
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Research Products
(5 results)