2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本住血吸虫宿主RNA取り込み関連遺伝子に関する研究
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22790393
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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Keywords | 日本住血吸虫 / RNA干渉 / SID-1 / dsRNA |
Research Abstract |
ヒトを含めた哺乳類の血管内に寄生する日本住血吸虫は、その寄生過程で多くの宿主由来の分子を取込んでいると考えられている。特に、住血吸虫は近年様々な分野で使用されているRNA干渉を容易に、かつ強力に引き起こすことができる。実際には、溶液中に標的となる遺伝子のdsRNAを添加するだけで誘導が可能である。このことから、住血吸虫は容易に宿主由来のRNA成分を取込めると考えられ、実際に標識した宿主RNAを取込むことも確認された。今回、この宿主RNA取込みのメカニズムとその意義を確認するために、その担当分子の同定を試みた。線虫類であるC.elegansのdsRNAのトランスポーターであるSID-1は外環境からのRNAの取込みと、その後に引き起こされるRNA干渉に関わっている。そこで本年度の研究内容としては、このSID-1の日本住血吸虫のホモログを同定し、解析を行った。日本住血吸虫のsid-1遺伝子のホモログを同定したが結果、sid-1遺伝子は一種類ではなく、様々なmRNAヴァリアントが存在していることがわかった。しかし、ゲノム中にこの遺伝子は1コピーであり、最も多く発現しているものは3‘側の580bpの領域がプロセッシングを受けて存在していることがわかった(SID-aヴァリアント)。住血吸虫の発育段階ごとでのsid-1遺伝子の発現を調べたところ、全てのステージでのSID-aの発現が見られたが、他のmRNAヴァリアントの発現は発育段階ごとに異なっていた。このsid-1遺伝子を標的にしたsiRNAによるRNA干渉を行った結果、全体のsid-1遺伝子やSID-aヴァリアントの有意な発現抑制が確認された。しかし、この遺伝子の抑制は住血吸虫の持つRNA干渉の機能を阻害することはできなかった。このことから、日本住血吸虫のSID-1はRNA干渉に機能しないと考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Schistosomicidal and antifecundity effects of oral treatment of synthetic endoperoxide N-89.2011
Author(s)
Taniguchi T, Kumagai T, Shimogawara R, Ichinose S, Hiramoto A, Sato A, Morita M, Nojima M, Kim HS, Wataya Y, Ohta N
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Journal Title
Parasitol Int
Volume: (in press)
Peer Reviewed
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