2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本住血吸虫宿主RNA取り込み関連遺伝子に関する研究
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22790393
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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Keywords | 住血吸虫 / RNAi / SID-1 / dsRNA / 寄生蠕虫 |
Research Abstract |
昨年度までに、C.elegansでRNAiやdsRNAの取込みに関わる遺伝子であるsid-1遺伝子の住血吸虫ホモログの解析を行った。しかし、この遺伝子をノックダウンした住血吸虫では、直接、RNAiの機能を阻害することができなかった。今年度は、その他のRNAi関連遺伝子を主に標的として実験を行った。特にdsRNAの切断に関与するRNAseIIIファミリーに属する遺伝子群として、Dicer、Argonaut、Droshaと、機能未知のRNAseIIIのそれぞれをノックダウンしたが、すべてにおいて、soaking法によるRNAiを阻害することができなかった。このことから、住血吸虫のRNAiにおいて、他の生物とは異なるdsRNAの取込み、及びRNAiのプロセスが行われていると考えられた。一方で、sid-1遺伝子のmRNAの発現を発育段階ごとに調べてみると、ヒトに感染直後の幼虫であるシストソミュラでの発現量が最も強くなっており、また、長鎖のdsRNAでシストソミュラを処理すると、sid-1の発現量が一過性に減少することが確認された。このことから、やはりsid-1はdsRNAに応答する分子であり、住血吸虫が宿主に感染してすぐに利用するRNAセンサーとなると推測された。他の報告により、sid-1の中に含まれている共通モチーフから、この分子が推定のセラミダーゼ活性を有することが示唆された。そこで、住血吸虫のタンパク質中のセラミダーゼ活性を測定した。その結果、成虫とシストソミュラの両方でセラミダーゼ活性が確認された。データベース上では日本住血吸虫のセラミダーゼは1つしか見つからず、その発現は成虫期に高いと報告されている。このことからも、宿主侵入時でのセラミダーゼの機能にsid-1が関与しているのではと推測された。今後、sid-1ノックダウンとセラミダーゼ活性への影響について実験を行う予定である。
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Research Products
(11 results)