2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子間障壁に着目したマラリア原虫の遺伝子発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
22790397
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
矢幡 一英 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
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Keywords | マラリア / インスレーター / エピジェネティック |
Research Abstract |
マラリア原虫は蚊・ヒトに寄生する際に形態を変化させ、組織、周期特異的な遺伝子発現を厳密にコントロールしているが、遺伝子発現調節機構についての詳細な研究はこれまで行なわれていない。研究実施者はマラリア原虫における遺伝子発現調節機構を解明するため、中でもゲノム上にある遺伝子それぞれを分離・コントロールする遺伝子間障壁DNA配列である、インスレーター領域に着目した。これまでヒト・酵母のゲノムDNA上においてChIP on ChIP法でコヒーシンをマッピングすることにより、染色体分配に働くとされていたコヒーシンがインスレーターとしても機能していることが見出されていることから、本研究では、染色分配に働くコヒーシンのマラリアゲノムDNA上での分布を解析し、そのDNA配列がインスレーター機能を有するのかを調べることで、マラリア原虫の遺伝子発現機構の一端を明らかにすることを目指している。マラリア原虫のコヒーシンの詳細な研究はされておらず、特異的抗体も無いことから、熱帯熱マラリア原虫ゲノムデータベースから、コヒーシンの活性ドメインを有する遺伝子群(PfSCC1、PfSMC1、PfSMC3)を同定し、マラリア原虫よりクローニングした。コヒーシンを標識し、クロマチン免疫沈降法をおこなうため、クローニングしたコヒーシンに蛍光タンパク質Venusを付加し、熱帯熱マラリア原虫に遺伝子導入した。マラリア原虫においては遺伝子組み換え体を取得するためには数カ月を要するため、現在遺伝子組換え体取得のためにスクリーニング中である。遺伝子導入された熱帯熱マラリア原虫が得られた後、クロマチン免役沈降実験を行うことでコヒーシン集積部位・結合配列を同定する。さらにはPfSCC1、PfSMC1、PfSMC3に対する抗体も作製中であり、これらの抗体を用いることでもクロマチン免疫沈降実験を行う予定である。
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