2011 Fiscal Year Annual Research Report
人獣共通感染症病原体レプトスピラによる宿主適応戦略の分子基盤の解明
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22790422
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小泉 信夫 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10333361)
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Keywords | 人獣共通感染症 / レプトスピラ / スピロヘータ |
Research Abstract |
人獣共通感染症の病原体レプトスピラは,その血清型により特定の動物種の腎臓に定着志向性があることが知られているが,その分子機構は明らかとなっていない.そこで本年度は,レプトスピラの細胞接着タンパク質の同定を目的とし,レプトスピラタンパク質を大腸菌のAIDAtransporterとの融合タンパク質として大腸菌の細胞表面上に発現させる系を構築した.ラット腎臓に特異的に定着するレプトスピラ血清型Copenhageni(:Fiocruz株)のゲノムライブラリーを作製し,組換え大腸菌のラット腎臓上皮由来培養細胞NR:K52Eへの結合を指標にスクリーニングを行ったが,特定のクローンを得ることはできなかった.一方,レプトスピラ遺伝子破壊株の細胞接着性を指標として,レプトスピラ細胞接着タンパク質の同定を行うために,最近フランスの研究グループによって開発されたmarinerトランスポゾンを用いたランダム挿入変異法を試みた.エレクトロポレーション法により病原性レプトスピラL.interrogans血清型Manilaeおよび血清型Hebdomadisの形質転換を行った結果,Manilae株では12の変異株を得ることができたが,Hebdomadis株では変異株を得ることはできなかった.また変異株を効率よくスクリーニングするために,エレクトロポレーション後のレプトスピラ1細胞をアガロースドロップ内に封入して培養するマイクロドロップレット法による変異株のクローニングを試みたが,効率の良いクローニング条件を決定することはできなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現時点で細胞接着に関与する遺伝子の同定に至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
ラットに特異的に保菌されている他の血清型のライブラリーを作製して細胞接着因子のスクリーニングを行うとともに,Fiocruz株のゲノム情報から外膜タンパク質を推定しそれを発現する大腸菌の細胞接着性を調査する.またレプトスピラ株の大腸菌との接合伝達法による形質転換を試みる.形質転換効率のよい病原性レプトスピラ株を探索して遺伝子破壊株ライブラリーを作製するとともに,非病原性レプトスピラに病原性レプトスピラタンパク質を発現させ,その細胞接着性を調査する.
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