2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌ベロ毒素産生におけるプロファージ・宿主ゲノム配列多型の寄与
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22790424
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
木全 恵子 富山県衛生研究所, 細菌部, 主任研究員 (50360805)
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Keywords | 細菌 / 大腸菌 / 感染症 |
Research Abstract |
本研究課題では腸管出血性大腸菌(以下EHEC)のベロ毒素遺伝子stxを保有するStxプロファージの塩基配列の多様性とStx産生性の関連性について、stxの下流領域(機能未知遺伝子を含む)の塩基配列多型解析を行っている。 一昨年度、本研究課においてstx2の下流領域の塩基配列解析のルーチン化と解析した塩基配列検索のデータベースを構築した。本年度はこれらを利用し、毒性の強いstx2、stx2多型の1つであるstx2c、およびstx1についてstxの下流領域の塩基配列多型解析を行った。 その結果、本年度までに解析対象としたEHECのべ145株のstx下流領域を解析し、Stx産生性についてRPLAによる定量をほぼ終了した。今後は、これらの解析結果についてstx下流領域の多型の系統解析およびその組み合わせとStx2産生量についてその関連性を明らかにする予定である。特に0157については従来より特定の遺伝系統に高病原性が指摘されていた。本年の解析においても、その0157遺伝系統株において、特定のstx2及びstx2c下流塩基配列を持つことが示唆されている。これらの遺伝系統におけるStx2産生性との関連性についても今後解析する予定である。 また、上記解析中に、Stx2産生およびstx2遣伝子構造において、通常のstx2置伝子を保有するO157とは明らかに異なる株を検出した。本年度これらの株のstx2下流の塩基配列解析を完了した。今後.は、この0157株についても他のStxプロファージの塩基配列多型との比較を行うことにより、Stx2産生性への寄与の解明を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象とした腸管出血性大腸菌株のStx2産生性および塩基配列データの集積をほぼ完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は集積した塩基配列の多型解析とStx2産生性への寄与について解析を行う。また、各塩基配列多型の代表株を選定し、溶菌誘導によるStx2産生性の比較、また、longe range PCR等を利用したプロファージのより広域領域の塩基配列についても比較を行う(また、ルーチン化した昨年までの塩基配列解析により解析できなかった一部の株についてもあわせて塩基配列解析を行う)。
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