2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790427
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐久間 龍太 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50547429)
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Keywords | XMRV / ガン化 / 悪性化 |
Research Abstract |
XMRV Envの下流、3'LTRの上流にピューロマイシン耐性遺伝子を挿入したXMRV-VP62の作製を試みた。ウイルス3'フラグメント中でのピューロマイシン耐性遺伝子発現カセットの機能を確認した上で、ウイルスゲノムに戻し、薬剤選択マーカー発現プロウイルスクローンとした。このコンストラクトからのウイルスの産生はベクターレスキューアッセイによって確認されたが、ウイルス産生細胞、感染細胞ともにピューロマイシン耐性を獲得したものはごく一部だった。またXMRVベクター系を構築するためにはEnv発現系に5'側の追加配列が必要だった。これらの結果から、XMRV Env周辺は高度に発現制御されている重要な領域であることが示唆された。上記に並行してXMRV感染細胞の性状解析を行った。まず腫瘍悪性度の指標として感染細胞の低血清濃度での増殖能を調べた。ヒト血球培養細胞へXMRVを感染させその増殖を観察したが、非感染細胞との差異は認められなかった。また転移能の指標として足場依存性を調べた。XMRVをラット培養細胞へ感染させ軟寒天培地にて培養したが、軟寒天培地中に浮遊した足場非依存コロニーの形成は認められなかった。以上より、XMRV感染は培養細胞の腫瘍悪性度に影響しないと考えられた。これは前立腺がんコホート研究と同等な結果である。一方で2011年5月以降の複数の報告・論文によって、本研究計画の主たる対象ウイルスであるXMRVの存在そのものが否定された。ヒト腫瘍初代継代細胞をヌードマウスで継代したことによる内在性レトロウイルス間での組み換えがXMRVの起源とされ、当初計画していた動物実験の実施は安全面、倫理面から困難となってしまったが、本研究計画を通してヒトの発ガン・悪性化という観点においてXMRVの関与は考えにくいという結論に達した。
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