2010 Fiscal Year Annual Research Report
水痘帯状疱疹ウイルスの潜伏感染および再活性化のメカニズム解析
Project/Area Number |
22790428
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
武本 眞清 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (60379237)
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Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス / glycoprotein H (gH) / 小胞体ストレス / オートファジー |
Research Abstract |
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が感染したヒト胎児肺細胞(HEL)を、VZVのglycoprotein H (gH)に対する中和抗体で処理すると、感染細胞はウイルスゲノムを保持したまま感染性を消失し、再活性化可能な潜伏感染状態に誘導される。我々はまず、感染性の消失過程を明らかにするために、VZVタンパクの細胞内動態に焦点を当て解析した。 VZVのglycoprotein E (gE)とgHの細胞内局在を調べた結果、gH抗体存在下、感染2日後までは両者はよく共局在したが、5日後になるとgHとgEとの解離が観察された。ウイルス粒子構成タンパクの解離は、粒子形成の障害が起きていることを示唆する。これら糖タンパクの細胞内局在を明らかにするために様々な細胞内器官に対する抗体と二重染色した結果、gH抗体存在下5日後の感染細胞で、gHは小胞体マーカーであるBiP/GRP78と共局在を示した。しかしながらBiP/GRP78の染色像は、非感染細胞にくらべて顕著に肥大しており、小胞体ストレス:Unfolded Protein Response (UPR)の誘導が予想された。通常UPRの後には、プロテアソーム分解系もしくはオートファジーのいずれかの機構によって異常タンパクは排除される。そこでgHがプロテアソームとオートファゴソームのいずれかと共局在するかどうか調べた結果、オートファゴソームマーカーであるLC3Bとの共局在が観察された。よってgH抗体による感染性の消失には、オートファジーが一部関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)