2011 Fiscal Year Annual Research Report
水痘帯状疱疹ウイルスの潜伏感染および再活性化のメカニズム解析
Project/Area Number |
22790428
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
武本 眞清 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (60379237)
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Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス / glycoprotein H / オートファジー / shedding microvesicles |
Research Abstract |
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)のglycoproteinH(gH)に対する抗体が、どのようにしてVZVの溶解感染を終息させ感染性を消失させるのかを明らかにするために、前年度まではVZVの糖蛋白(gH,gB,gE)の細胞内動態に焦点を当てて解析を行ったが、本年度は抗gH抗体自身の挙動についても明らかにすることで、感染VZVに対して抗gH抗体が及ぼす作用を検討した。 抗gH抗体処理したVZV感染細胞(ヒト胎児肺[HEL]細胞)においても、VZV蛋白は前初期・初期・後期と一通り発現し、感染24時間後にはgHは細胞表面に発現していた。培地中の抗gH抗体は細胞表面でgHと複合体を形成し、endocytosisにより細胞内に取り込まれてウイルス粒子成熟の場であるtrans-Golgi networkに局在し、他の構造蛋白であるgBやgE、IE62などとも共局在を示した。その後抗gH抗体はgHとともに二通りの様式によって処理されることを示唆する結果が得られた。一つはautophagyによる細胞内での分解で、aggresomeを形成したgH-抗gH抗体複合体が部分的にautophagosomeマーカーであるLC3Bと共局在する像が観察された。もう一つはexosomeと並ぶ主要な分泌小胞であるshedding microvesicle(SMV)を介した細胞外への排出で、感染細胞の周囲にgHおよび抗gH抗体とSMVマーカーであるintegrinを含む複数の小胞が存在し、またSMV中にはVZVの他の構造蛋白(gB,gE,IE62)の存在も確認された。これにより抗gH抗体はVZV感染細胞の内部にてgHをautophagyによって分解するのと同時に、細胞外にもSMVとして排出することで、VZV感染の進行を阻害していることが示唆された。
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