2011 Fiscal Year Annual Research Report
水痘帯状疱疹ウイルスがコードするORF49とORF44の機能解析
Project/Area Number |
22790432
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
定岡 知彦 神戸大学, 医学研究科, 助教 (00435893)
|
Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス / ウイルス粒子 / テグメントタンパク / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本年度は、水痘帯状疱疹ウイルスのウイルス粒子テグメントタンパクであり、細胞向性に関わる因子であるORF49タンパクと相互作用するウイルス因子であるORF44タンパクにおいて、昨年度までに同定したORF49タンパクとの詳細な相互作用部位に変異を導入する事により、共焦点レーザー顕微鏡による解析により、ORF49タンパクにおける相互作用部位についてもその詳細を明らかにした。ORF49タンパクにおいてはすべてのヒトヘルペスウイルスに保存されるORF49タンパクホモログにおいて保存される、酸性アミノ酸に富んだ"acidic cluster"のうち、4つのアミノ酸がORF44タンパクとの相互作用の決定因子であった。ORF49タンパクにおけるこの4つのアミノ酸変異は、ORF49単独発現においては、ウイルス粒子形成の場であると考えられる、trans-Golgi network由来の膜構造へのORF49タンパクの集積に影響しなかったが、ORF44との共発現においては、ORF44タンパクのtrans-Golgi networkへの集積を阻害し、この相互作用に関わる4アミノ酸が、水痘帯状疱疹ウイルスにおけるウイルス粒子形成に関わる事が示唆された。さらにそれぞれの相互作用部位を別々に変異させた組換えウイルスにおいて、ORF44タンパクの変異はウイルス粒子の構築に必須であり、ORF44タンパクのウイルス感染における重要性とともに、この相互作用部位がORF44タンパクの機能中心である事も見出された。ORF49タンパクにおける相互作用部位における変異により、ウイルス粒子構築は可能であったが、この変異ウイルスの増殖は、以前に作製したORF49タンパクを発現しない変異ウイルス以上に減弱しており、さらに産生される感染性ウイルス粒子が明らかに減少していた。このことは、ORF49タンパクにおける4アミノ酸が、ORF44タンパクとの相互作用を通したウイルス粒子形成に機能する事を示す。これらの事より、ORF44タンパクとORF49タンパクの相互作用が、分子間相互作用標的新規抗ウイルス薬の標的となる可能性が示唆される。
|
Research Products
(3 results)