2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1増殖の多様な過程に関わるインテグラーゼの機能解析
Project/Area Number |
22790434
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三宅 在子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20548622)
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Keywords | ウイルス / HIV-1 / Pol-IN |
Research Abstract |
申請者の所属研究室では、HIV-1/サル動物モデルに有効なサル細胞指向性HIV-1の構築に成功している。当ウイルスのサル細胞における馴化を行いその結果得られたウイルスについて解析をした結果、ウイルス増殖促進効果を持つ変異がインテグラーゼ(IN)C末端領域(CTD)に集中して存在することが明らかとなった。よって、本研究ではウイルス増殖におけるIN CTDの機能的役割を明らかにすることを目的としている。H22年度は、上記のINCTD変異がウイルス増殖サイクルのどの過程の効率上昇に寄与しているのか、また、それらの影響が核酸とアミノ酸どちらの変異に起因するものなのか、以上について解析を行った。解析には、IN CTD上に馴化型1塩基置換を各々有する株、同部位に核酸(codon usage)もしくはアミノ酸の変異を導入した株を用いた。馴化型変異株はヒトおよカニクイザル由来細胞株においてウイルス増殖促進を示した。よって、IN CTD変異による増殖促進効果は種非特異的であることが示された。また、当変異の増殖前期過程およびウイルス産生能に与える影響を評価した結果、増殖前期過程の効率は全てのウイルスで親株と同レベルであったが、ウイルス産生能は全ての株において親株よりも増強された。よって、IN CTD変異による増殖促進効果はウイルス産生能の増強によりもたらされることが示された。次に、アミノ酸変異を導入した株のウイルス産生能を比較した結果、親株と比較し増強、同レベル、減弱したものが見られた。しかし、これらの増減と保有するアミノ酸の物理化学的性質との相関は見られなかった。一方、codon usageの異なる株では、同アミノ酸をコードするにもかかわらずウイルス産生能が増強したものと親株と同レベルのものが見られた。よって、ウイルス産生能の増強効果は核酸レベルの変異に起因すそ可能性が示唆された。
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