2011 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン抗原をディスプレイするファージワクチンによる自己抗体の誘導と免疫制御
Project/Area Number |
22790435
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 助教 (40295275)
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Keywords | プリオン / バクテリオファージ / ワクチン / 自然免疫 / 抗体 |
Research Abstract |
プリオンの伝播を抑制できるファージワクチンの開発を目的として、1)抗プリオン抗体を誘導するためのペプチド抗原の分子設計とファージ多価ディスプレイ系の確立、2)M13バクテリオファージが引き起す免疫応答の解析を試みた。βシート構造にリフォールディングされたヒト組み換えプリオン蛋白だけに反応し、正常な構造のプリオン蛋白には結合しないPRB7 IgG抗体を作製し、プリオン持続感染細胞であるScN2a細胞との反応性を解析したところ、蓄積の程度は異なるが30%の細胞集団においてβ構造のプリオン蛋白の蓄積が認められ、アポトーシスにより死滅した細胞においてはPRB7抗体による強い染色が認められた。一方、PK耐性のプリオンの蓄積阻害には効果がないことが判明し、β構造のプリオン蛋白は、感染ではなく細胞死の誘導に関与していることが明らかとなり、β構造のプリオン蛋白は、プリオン感染後のエンドプロダクトであることが示唆された。ペプチドファージライブラリを用いたエピトープ解析では、ヒトプリオン蛋白と弱い相同性を有するミモトープペプチドpepPRB7-14が単離され、128-132の領域のβ構造を認識していることが明らかとなったが、ワクチン抗原としては、強い感染阻害活性が認められたSAF32抗体などのミモトープペプチドがワクチン抗原として有効であることが示唆された。g8pに多価でディスプレイするための発現系については、提示するペプチドの配列によって提示率が異なり、現在、シグナル配列の検討を含めて検討を行っている。M13ファージのリン酸緩衝液の投与によるIgG抗体応答は、TLR2,4,7,もしくはTLR9ノックアウトマウスにおいても認められ、紫外線照射により不活化されたM13ファージの投与によっても一次応答の段階からIgG抗体応答が誘導されることから、ファージがもつ繰返し構造が自然免疫のセンサー分子による認識に重要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)