2011 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス子孫vRNP複合体の可視化による細胞質内極性輸送機構の解析
Project/Area Number |
22790438
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
百瀬 文隆 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 講師 (90332204)
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Keywords | インフルエンザウイルス / RNP複合体 / ライブセルイメージング / モノクローナル抗体 / タンパク質導入 / 微小管輸送 / 極性輸送 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インフルエンザウイルス分節化RNAゲノム-タンパク質複合体(vRNP)の極性輸送を分子レベルで解明することである。昨年度までの成果として、子孫vRNPがRab11陽性リサイクリングエンドソーム(RE)に依存して極性輸送されることを明らかにした。さらに本年度は、報告者等が作製した「RNP複合体と優先的に結合する抗NPモノクローナル抗体(mAb61A5)」および新たにエピトープの同定が終了した「抗HAモノクローナル抗体(mAb12-1G6)」を用い、感染細胞におけるRNPおよびウイルス膜タンパク質の局在解析をおこなった。その結果、HA輸送小胞と見られる粒状HAシグナルと、REとみられるRNPシグナルが、感染細胞の細胞質内で共局在しないことを見いだした。小胞輸送阻害剤であるブレフェルディンAを用いて膜タンパク質の形質膜輸送を阻害した場合、vRNPはトランスゴルジネットワークと見られる繊維状の細胞内オルガネラに蓄積するが、そのような条件下でもHAとの共局在は観察されなかった。これまで、子孫vRNPはウイルス膜タンパク質輸送小胞と共に形質膜アピカル面へ輸送されると考えられていたが、従来の膜タンパク質-vRNP共輸送仮説は誤りであり、vRNPは少なくともHAとは異なる経路で独自に極性輸送されることを証明した。vRNP陽性REの極性輸送に関して、クラス2Rab11エフェクタータンパク質であるRab11-FIP3/4のRab結合ドメイン(RBD)欠損変異体はドミナントネガティブ(DN)体として作用する。本年度、RBDに加えてこれらエフェクタータンパク質が有するARF結合ドメインおよびEFハンドドメインのどちらかでも欠損させた場合、DN体として作用しなくなることを見いだした。すなわち、これら両ドメインが子孫vRNPの極性輸送に必須である事が判明した。
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Research Products
(6 results)