2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790440
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河本 聡志 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60367711)
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Keywords | ロタウイルス / リバースジェネティクス / VP4 |
Research Abstract |
エンベロープウイルスの多くは、表面スパイク蛋白質が宿主プロテアーゼによって切断活性化されて感染性を獲得する。このため、宿主プロテアーゼによる表面スパイク蛋白質の切断活性化は、多くのエンベロープウイルスの病原性発現に深く関わっている。非エンベロープウイルスであるロタウイルスも外殻スパイク蛋白質VP4がトリプシンでVP8^*とVP^5*に切断活性化されることで感染性を獲得する。トリプシン非存在下でのロタウイルス多段階増殖の可能性を試みる目的で、VP4上のトリプシン切断領域にフューリン様プロテアーゼ認識配列を導入した組換えロタウイルスを作製した。この組換えウイルスはトリプシン非存在下では多段階増殖し得ないのみならず、新生ビリオンの大部分が感染細胞内に蓄積しており、増殖能は野生型VP4を有する親株に比べて大きく低下した。細胞内でのVP4活性化はロタウイルス増殖には負に作用する可能性が示された。一方で、VP4上のトリプシン切断領域には高度に保存された非連続の3個のアルギニン残基(R231、R241、R247)が存在し、異なる感受性でトリプシンにより切断される。発現蛋白質を用いた解析から、ロタウイルス感染性の獲得にはR247の切断だけで十分であり、残る2個のアルギニン残基の切断はロタウイルス感染には必要ではないと推測されている。しかし、全てのアルギニン残基はロタウイルス間で高度に保存されていることから、ウイルス感染において何らかの生物学的意義があるとも推測されてきた。現在、各アルギニン残基を単独あるいは同時にリシン残基に置換した組換えウイルスの作製を進めている。アルギニン残基とリシン残基を各々特異的に切断するアルギニルエンドペプチダーゼおよびリシルエンドペプチダーゼを用いることで、各残基における切断の重要性を実際のウイルスで明らかにできると考えている。
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