2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス免疫回避分子MIRによる免疫受容体認識の分子基盤
Project/Area Number |
22790442
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梶川 瑞穂 独立行政法人理化学研究所, 感染免疫応答研究チーム, 基礎科学特別研究員 (00464389)
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Keywords | ウイルス / 免疫回避 / 免疫受容体 / 膜タンパク質 / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
免疫力の著しい低下時に腫瘍を発症するカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)にコードされる初期遺伝子産物MIR(Modulator of Immune Recognition)は、MIR1およびMIR2をメンバーとする新規膜型ユビキチンリガーゼファミリーである。MIRはヒトの免疫受容体をユビキチン化しリソソーム分解経路へと誘導する免疫回避分子として機能していると考えられることから、MIRの免疫受容体認識抑制によるKSHVの感染制御が期待できる。しかしMIRによる免疫受容体の認識は膜貫通領域内で行われる現象であり、その分子基盤は不明である。そこで本研究はX線結晶構造解析およびNMR解析を軸とした構造生物学的手法によって、MIRと免疫受容体間の膜貫通領域内での相互作用の分子基盤を詳細に解明し、これを阻害することによるKSHV感染制御法の基盤を創出することを目的とした。 平成23年度はMIRが膜貫通領域のみならず細胞外領域によっても免疫受容体を認識することを明らかにした。この相互作用の分子基盤を詳細に解明するため、NMRによる認識領域の構造決定および基質との相互作用解析を目的とし、MIRの膜貫通領および細胞外領域部分についての大腸菌発現系の構築と精製法および可溶化法の開発と最適化を行った。組換えMIR(膜貫通領域+細胞外領域)は大腸菌で十分量発現し、二段階のクロマトグラフィーにより高純度に精製された。精製後は各種界面活性剤で溶解し、円偏光二色性測定およびNMRでの1H-15N HSQC測定を行い、二次構造含量と凝集形成の有無を指標にして可溶化条件の最適化に成功した。
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Research Products
(3 results)