2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトパピローマウイルスのローリングサークル型DNA複製の分子機構の解明
Project/Area Number |
22790443
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松尾 理加 (楠本 理加) 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 主任研究官 (90514133)
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Keywords | ウイルス / がん / DNA複製 |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス(HPV)のDNA複製には、θ構造型とローリングサークル(RC)型の2つの複製様式がある。RC型複製については、その分子機構と生理的意義は明らかにされていない。本研究ではまず、HPV DNAのRC型複製に必要な宿主細胞のタンパク質を同定し、その分子機構を明らかにすることを目的としている。 申請者は既にRC型複製を検出する無細胞複製系を構築している。この系を用いると、HPV DNAは上皮細胞抽出液ではRC型で複製され、293胎児腎細胞抽出液ではθ構造型で複製される。当初、上皮細胞抽出液にはRC型複製を誘発する因子が存在すると考えていた。しかし、上皮細胞抽出液に293細胞抽出液を加えると、HPV DNAのRC型複製反応が阻害された。このことから、上皮細胞抽出液にはRC型複製を誘発する因子が存在するという可能性より、むしろ、293細胞抽出液にはRC型複製を阻害する因子が存在する可能性が新たに考えられた。(これらの結果は雑誌論文Genes to Cellsに発表した。)RC型複製反応では、複製装置が同じ鋳型DNA上を何周もしており、θ構造型複製との違いは、複製起点の反対側で複製装置がDNAから解離しないことであると考えられる。現在、293細胞抽出液から複製装置をDNAから解離させるような阻害因子の同定を試みている。また、HPV DNAの複製に必要であるHPVのE1、E2タンパク質が細胞内でどのような修飾をうけているか検討している。
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Research Products
(2 results)