2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790447
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
棟方 翼 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (50420237)
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Keywords | C型肝炎 / ウイルス / 脂肪酸合成酵素 / パルミチン酸 / 阻害剤 / 脂肪肝 / 肝硬変 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
我々は、C型肝炎ウイルス(HCV)のNS5B蛋白質が宿主細胞のがん抑制遺伝子産物Rbの分解を誘導して、下流のE2F応答性遺伝子群の発現を活性化することを見出していた。また、この遺伝子群の中に、脂肪酸合成酵素(FASN)を含む脂肪酸合成経路の因子が存在することが予備的実験で判明していた。そこで、FASN或いはその合成産物がHCVの生活環で果たす役割を解明する為、FASN阻害剤のHCV複製に対する効果を検討した結果、in vitroとin vivoで共に、FASN阻害剤がHcv複製を抑制することが判明した。FASNに対するsiRNAの効果も、FASN阻害剤の効果と一致して、HCV複製・増殖の抑制を示した。FASN阻害によるHCV複製抑制は炭素数16の脂肪酸、パルミチン酸を加えることで解除されたことから、パルミチン酸依存のHCV複製制御という新しい概念を提案している。また、肝炎や脂肪肝を生じるモデル動物のHCV-Tgマウスにおいて、病態の発症とFASNの発現が相関することも我々は見出した。従って、FASN阻害剤はウイルス感染の治療だけでなく、HCV感染由来の病態の治癒にも応用可能であると考えている。さらに、我々の解析により、HCV増殖を抑制するマイクロRNA(miRNA)miR-199aが、宿主のFASNの発現も直接抑制していることが判明した。HCVはFASNの発現を転写レベルで高めるが、一方でFASNはHCV複製に必要である為、両者の制御にクロストークが存在することは示唆されていた。しかし、同一のmiRNAがウイルス遺伝子と宿主遺伝子の双方の発現を制御するクロストークの要であることは新発見であり、その分子機構の解明を今後行っていく予定である。
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