2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染時の蛋白質修飾を介した新規自然免疫活性化機構の生体内での重要性
Project/Area Number |
22790450
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押海 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50379103)
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Keywords | ウイルス / インターフェロン / 自然免疫 / インフルエンザ / C型肝炎 / ユビキチン / シグナル / RIG-I |
Research Abstract |
新型インフルエンザやC型肝炎ウイルスなど、ウイルス感染症の問題は個人の健康を脅かすのみならず、社会を混乱させる非常に重要な問題であり、その解決が強く要請されている。我々はこの問題解決の為に、ウイルス感染時の生体防御応答として非常に重要な自然免疫応答に着目し研究を進めた。I型インターフェロンは強い抗ウイルス作用をもつサイトカインである。インフルエンザウイルスやC型肝炎ウイルスは宿主の細胞に感染すると、RIG-Iと呼ばれる細胞内のウイルス認識センサーにより認識され、I型インターフェロン産生が産生される。我々は、以前にこのRIG-Iと結合する新規の分子としてRipletと名付けた新規分子を単離していた。本研究では、このRiplet分子が生体内に於いてウイルス感染時にどのような役割を果たすかを明らかにするために、Ripletノックアウトマウスを作製し、ウイルス感染実験を実施した。興味深いことに、Ripletノックアウトマウスは水泡性口内炎ウイルス(VSV)感染時に野生型と比較して高い死亡率を示し、この時の血中のI型インターフェロン産生も大きく低下していた。また、マウスより、樹状細胞、マクロファージ、繊維芽細胞を単離し、ウイルス感染時のI型インターフェロン産生を調べたところ、VSV、インフルエンザウイルス、センダイウイルス感染とC型肝炎ウイルスRNAに対する1型インターフェロン産生を大きく減少していた。これは、Ripletユビキチンライゲースが宿主のウイルス認識センサーであるRIG-1の活性化に必須の役割を生体内で果たすことを示しており、ウイルス感染時のI型インターフェロン産生の重要なメカニズムの解明につながった、また、マイクロアレイ解析から発見した新規のヘリケース分子であるDDX60が、ウイルス感染時にRIG-I依存的なI型インターフェロン産生を助ける役割をすることを発見した。
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