2010 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞の死細胞認識およびクロスプレゼンテーション機構の解明
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22790451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 勝文 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20453582)
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Keywords | 樹状細胞 / 貪食 / 死細胞 / 抗原提示 |
Research Abstract |
樹状細胞(dendritic cell;DC)はT細胞に抗原を提示し、獲得免疫の活性化および制御に重要な役割を担ってる。DCには様々なサブセットが存在するが、とりわけマウス脾臓CD8+DC細胞は死細胞貪食能力が高く、また死細胞由来の抗原をMHC-class Iに提示(クロスプレゼンテーション)する生体内DCサブセットであることが報告されている。しかしながら、その死細胞認識機構は全く分かっていなかった。今回我々は、T cell immunoglobulin mucin-3(Tim-3)がその機構に関与することを見出した。我々は脾臓CD8+DC上にTim-3の発現が高いことを見出し、そのDCサブセットによる死細胞貪食およびそのクロスプレゼンテーションはTim-3中和モノクローナル抗体のRMT3-23で約50%抑制されることをin vitroおよびin vivo実験系により明らかにした。一方、同じTimファミリー分子であるTim-4はphosphatidyl serine(PS)受容体として同定されたため、我々はTim-3とTim-4のPSへの親和性を比較検討した結果、Tim-4のPSへの親和性はTim-3よりも顕著に高かった。また脾臓CD8+DC上にTim-4の発現が低いながらも認められたため、その死細胞認識へのTim-4の関与を検討した。脾臓CD8+DCの死細胞貪食認識はRMT4-53およびRMT4-54のいずれのTim-4中和抗体でも有意な抑制は認められなかった。これらの結果は、CD8+DCはTim-4ではなくTim-3を介して死細胞を認識することを示唆する。Tim-3はリステリアなどの細胞内細菌やウイルスに感染した細胞に対するCD8+細胞傷害性T細胞の誘導やまた末梢の自己反応性CD8+T細胞のトレランス誘導にも関与している可能性が考えられ、現在それらの役割についても検討中である。
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Research Products
(4 results)