2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカイン受容体CXCR3によるメモリーCTL樹立・維持の制御機構の解明
Project/Area Number |
22790453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉知 慎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396722)
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Keywords | 抗原特異的CD8陽性T細胞 / 免疫記憶 / CXCR3 / メモリー細胞 / ワクチン / ウイルス免疫 |
Research Abstract |
CXCR3がG蛋白共役受容体であることから、CXCR3が直接CD8陽性T細胞に内因的な刺激シグナルを伝達している可能性を考慮して研究を進めてきたが、in vitroでのリガンド添加培養実験では顕著な影響を認めることができなかった。このため、CXCR3が制御する生体の局在(移動)がCD8陽性T細胞の応答の質を制御していると考え、感染後早期の脾臓内局在に焦点を当てて組織学的な解析を実施した。その結果、活性化後早期にCD8陽性T細胞上に発現誘導されるCXCR3が、脾臓内においてCD8陽性T細胞を傍リンパ鞘周辺T細胞領域から辺縁帯へ遊走させることで、エフェクター型への分化を促進していることが明らかになった。CXCR3は抗原特異的な活性化を受けたT細胞のみに発現が誘導されるため、辺縁帯への集積は抗原特異的T細胞に限定され、その他の非特異的な集団はT細胞領域内に残ることになる。これにより辺縁帯のスペースやサイトカインなどのリソースは抗原特異的細胞が大量のエフェクターCTLを産出するために有効に利用され、大多数の非特異的集団は炎症性サイトカインによるbystander活性化を避けることができるのではないかと、我々は考えている。CXCR3がほぼ全ての活性化CTL上に発現することから、ワクチン接種量(抗原や炎症シグナルの総量)を増加させずともCXCR3シグナルを制御することでワクチン効果を増強することが可能であると考えられる。本研究の成果は、The Journal of Experimental Medicineにて発表した。
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