2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫を誘導するIL-6Ampの標的遺伝子Xの同定
Project/Area Number |
22790464
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小椋 英樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20573174)
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Keywords | IL-6Amp / 自己免疫疾患 / 関節炎 / IL-17A / CCL20 / IL-6 |
Research Abstract |
Th17細胞が産生するIL-17Aは、IL-6と協調して線維芽細胞に働きかけ、IL-6やケモカイン等の産生を増幅するIL-6Ampを形成して自己免疫を誘導する。今回、このIL-6Ampの標的遺伝子の一つとして、CCL20を同定した。 試験管内でIL-6とIL-17Aの共刺激で相乗的に発現上昇する遺伝子を網羅的に探索し、CCL20を候補の一つとして絞り込んだ。IL-6/STAT3経路が増強したF759マウスは、IL-6Ampに依存して関節炎を自然発症する。関節炎を発症したこれらF759マウスの、関節局所におけるCCL20のmRNA発現は著明に上昇しており、更にその受容体CCR6陽性細胞の集積を認めた。CCL20はTh17細胞を集積するケモカインとして知られる。実際に若齢F759マウスに試験管内で調製したTh17細胞を尾静脈より移入し、CCL20を関節内投与すると、Th17細胞の集積、IL-6Amp依存的な関節炎発症を認めた。また、一番初めにCCL20発現を誘導するIL-6Ampのトリガーとして、物理的ストレスや関節内微小出血によるTh17細胞の集積を想定し、Th17細胞を尾静脈より移入したF759マウスに関節内微小出血を誘導すると、Th17細胞が集積し、関節炎が誘導された。この系でshRNA発現レンチウイルスにより関節局所でCCL20を発現抑制すると、関節炎が劇的に抑制された。また、Th17細胞、更にはIL-17AをF759マウスの関節に注射すると関節炎が誘導された。以上よりCCL20はTh17細胞を関節局所に集積し、IL-17A依存的に関節局所でIL-6Ampを増強し、炎症を拡大、自己免疫性関節炎を誘導するものと考えられた。これらの成果は自己免疫発症機序に新たな概念を導入し、また具体的な治療標的を提示した大変意義深いものである。現在、他の標的遺伝子の探索等を行っている。
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