2010 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム蛋白LAPTM5によるBCRの分解機構の解析
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22790482
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大内田 理佳 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (80391887)
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Keywords | B cell receptor (BCR) / lysosome / B cell activation |
Research Abstract |
LAPTM5欠損B細胞における抗原刺激後のBCRの発現レベルが、野生型に比して有意に亢進していることがin vitroの解析で判明した。この時、CD19やCD40の発現は野生型と比べて違いが認められなかったことから、LAPTM5がBCRの発現を特異的に制御している可能性が示唆された。さらに、LAPTM5欠損マウスをT細胞依存性抗原NP-CGGで免疫した際、野生型と比較してB細胞上のBCR発現量の上昇および抗原特異的なB細胞集団の増加が認められ、抗体産生量が顕著に増加していた。また、加齢に伴いLAPTM5欠損マウスでは、血中のIgM量が野生型に比べ有意に上昇し、さらにIgMおよびIgG型の抗dsDNA抗体の出現ならびに腎糸球体における自己抗体の沈着が観察された。LAPTM5によるBCRの発現制御を明確にするために、B細胞株でLAPTM5を強制発現させると、細胞表面のBCR発現量がLAPTM5の発現量に依存して低下し、リソソーム阻害剤によってこのBCR低下が回復した。即ち、LAPTM5によるBCR発現制御がリソソームに依存していることが示唆された。また、LAPTM5の過剰発現によりBCR複合体の蛋白量が減少すること、さらに細胞内でLAPTM5とBCR複合体が共局在し、物理的に相互作用していることを、免疫染色および免疫沈降法により明らかにした。細胞表面のBCRは、抗原刺激に曝されると活性化シグナルを伝達するのみならず、抗原を細胞内に取り込み、MHC class II分子を多く含むレイトエンドソーム様コンパートメント(MIIC)での分解を介した抗原提示においても重要な役割を果たす。しかしながら、LAPTM5欠損マウスとNPに特異的に結合するV_H186.2DFL16.1J_H2ノックインマウス(B1-8^<hi>)との掛け合わせマウスを用いて、in vivoにおける抗原提示能を調べたところ異常が認められなかったことから、LAPTM5はBCRを介した抗原提示機能には関わらないことが示唆された(J.Immunol.185 294-301,2010)。
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Research Products
(2 results)